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「浮かれるのも良いが、次の対戦相手は今までのようにはいかないぞ」
自分の体重の5倍はありそうな対戦相手を蹴り倒し、驚嘆と賛辞の入り混じる大歓声を背に意気揚揚と控え室へと歩を進めるドロシーへ、神妙な面持ちのリオンが語りかけた。

「東方で剣聖とまで呼ばれる存在。『東の魔女』の通り名に聞き覚えがあるだろう?」
その名前に反応してか不意に歩みを止め、若干緊張したような表情を見せるドロシー。
だが次の瞬間には大きくその相好を崩し、力強い意志を込めた口調でこう答えた。

「ボクのキックとあのヒトの剣技。どっちが強いのか、ボクはそれを確かめたいんだ!」
そう言って満面の笑顔を浮かべるドロシー。と、間髪入れずにティンウッドがこう続けた。
「マァ ムネノサイズハ カンパイダケドナ」

「・・・やッかましぃ!!!」
耳のあたりまで真っ赤になりながら、ブリキ製のドテッ腹めがけて怒りのキックを叩き込むドロシー。
壊れた玩具のように(いや、実際壊れた玩具そのものなのだが)高々と宙を舞うティンウッドの姿を無言で見上げつつ、スケアクロウがポツリと呟いた。

「木を隠すには森、か。東の国も何を企んでいるやら」

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