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光と闇の存亡を賭けた先の魔法大戦に光の軍勢として戦地に赴き、
ついぞ戻ることのなかった白魔術士の両親。
残された幼いロリーナは両親の遺志を継ぐため、そして妹のアリスを養うために、
簡易魔法薬の調合の仕事を貰いながら白魔術の研究へと没頭していた。

生まれついての病で、一日の大半をベッドで寝て過ごすアリス。
だが姉の前ではいつも絶やさない妹の笑顔は、彼女にとって唯一の心の支えとなっていた。

――――そう、あの日が来るまでは。

女王陛下の誕生日を祝う誕生祭。いつものように魔法薬を納品し、
『お祭りだから』と少し多めに貰えた報酬の銀貨を握り締めたロリーナは、妹の待つ家へと急いでいた。
だが家に近づくにつれ、街の様子がなんだかおかしい事に気が付いた。
笑い声ではなくざわめきばかりが聞こえる。大通りに人だかりが出来ている・・・?

やがて、彼女は目にした。大きな車輪の付いた禍禍しいギロチン台、
今まさに振り下ろされんとしている凶刃。
そしてその下に括り付けられた幼い少女――――アリスの姿を。
姉を追って街に来てしまった、迷子のアリス。女王様のお怒りに触れ、
ギロチン台にかけられてしまった可哀相なアリス。
最後まで姉の名前を呼びつづけた、幼いアリス・・・

そして、時は流れた。

魔法大戦後は禁術とされている死霊術士(ネクロマンサー)の道へと迷い込んだロリーナ。
その表情は冷たく、瞳には闇より暗い復讐の炎だけが浮かんでいた。
その傍らに立つのは、自分の背丈ほどもある大剣を担ぎ上げた不死戦士(アンデッド)の少女。
生気の無い瞳で虚空を見つめるその顔は、彼女の妹・アリスのものだった。
数々の失敗を経て蘇らせた『かつて妹だった異形の者』に、ロリーナは優しく語りかけた。
「ずっと一緒よ、アリス。いつまでも」

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